東日本大震災の被害が大きかった岩手、宮城、福島の3県の沿岸部で10月末現在、失業手当を受けている人が前年同期の4倍近くいることが分かった。3県でも、内陸部は受給者が1年前より少ない地域もあり、雇用の回復ぶりに極端な差が出ている。復興関連の求人は職種が限られ、とくに女性の再就職が進まない。

 10月末の3県の失業手当の受給者数(職業訓練に移った場合の訓練延長給付を含む)は、ピーク時の6月から約2割減の6万1211人。この受給者数を計28カ所のハローワーク(宮城のみ2出張所を独立集計)ごとに前年同期と比べた。

 その結果、大都市圏の仙台(管内は仙台市など)は1.32倍、内陸18カ所の合計が1.22倍だったのに対し、沿岸9カ所の合計は3.73倍。とくに三陸沿岸で受給者が多いままで、気仙沼(宮城県気仙沼市・南三陸町)は9.62倍、石巻(宮城県石巻市・東松島市など)は5.73倍だった。

 原発事故の復旧作業が続く福島は、立ち入り禁止区域がある相双(南相馬市・双葉郡など)が3.56倍。平(いわき市)が2.80倍だった。

 一方、いずれも内陸の岩手県の花巻、一関、水沢、北上と、宮城県の白石出張所、築館の受給者数は1年前を下回った。

 また、3県全体で1年前に51.3%だった受給者に占める女性の割合は、58.1%に上がった。三陸沿岸はとくに高く、大船渡(岩手県大船渡市・陸前高田市など)では68%だった。

 津波が直撃した水産加工業で働く女性が多かったうえ、店員や事務員も、女性が多いパートや契約社員から解雇した企業が多いためだ。一方で、復旧・復興事業関連の求人は建設や警備に偏っており、女性に合う仕事は少ない。政府は被災者の失業手当が切れ始める1月中旬以降は給付期間を延長せず、3次補正予算に盛った雇用対策で再就職を促していく方針だ。

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 〈震災と失業手当〉 失業手当は、年齢や雇用保険加入期間、退職理由に応じて給付日数が決まる。倒産や解雇の場合は90~330日。東日本大震災で失業して再就職できない人は一部を除き、120日の延長が認められた。さらに政府は津波被害が大きい沿岸部と東京電力福島第一原発周辺の受給者に90日の再延長を認めたが、早い人は来年1月中旬に受給期間が終わる。

朝日新聞 2011年12月11日0時17分

http://http://www.asahi.com/special/10005/TKY201112100410.html

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