多くの大災害では、くっきりと性差が現れる。犠牲者を男女別にみると、女性の方が上回ることに驚く。
東日本大震災では、12日現在の県内死者は4671人。このうち、男性は2147人(46%)、女性が2488人(53%)、性別不詳が36人。被災3県に広げても、この割合はほとんど変わらない。
1896年の明治三陸大津波の県内の犠牲者は男性45%に対し女性55%。女性が2千人も多い。1995年の阪神大震災でも男性42%に対し女性57%で千人余も上回る。
今回の大震災では、60代以上で女性の犠牲者数がぐんと増えている。災害は性に関係なく誰をも「平等」に襲う。人口比からみれば当然の割合かもしれない。
しかし、犠牲者の半数以上を占めている事実は重い。どうすれば1人でも犠牲者を少なくできるか。考え続けなければならない課題だ。そして助かった後、性差による問題も残念ながらあった。
反省点の一つは、避難所の問題だ。プライバシーを守れない。赤ちゃんへの授乳スペースもない。ミルクや離乳食がない。女性の下着や衛生用品、お年寄り用のおむつも手に入らなかった。
実は、県の地域防災計画には、避難所に関して「可能な限りのプライバシーの確保」「男女のニーズの違い」「男女双方の視点等への配慮」という文言がある。
それは結局、生かされなかった。これまでの災害訓練は避難訓練にとどまっていたからだ。県は、今回の反省を踏まえて避難所の運営訓練も行う方針だ。
ぜひ実現してほしい。訓練することで足りないものが見えてくる。指定避難所にスペース確保の仕切りを用意したり、備蓄の内容も考える必要が出てくるだろう。
女性の声を反映させる体制も欠かせない。中央防災会議の専門調査会は、昨秋の報告書で「防災分野に女性の視点の反映が不十分だった」と指摘した。
防災組織はどうしても男性が中心になりがちだ。県防災会議も現在、女性メンバーはゼロ。委員はポストに割り振られるため、難しい点もあるが、工夫している自治体もある。女性の問題として見直すことで、新たな対策も開けてくるのではないか。
復興にも生かしたい。県の大震災津波復興委員会に女性委員2人が入り、各分野の女性との意見交換会を開いて復興計画を手直ししたのは、その一歩だ。
この1年、女性たちのたくましさを感じる場面をいくつも見てきた。母親の強さ、避難所でのコミュニケーション能力、保健師や看護師ら専門職の奮闘-。
彼女らを復興の枠の外に置いていてはもったいない。地域の再生を担うのは男性ばかりではない。
村井康典(2012.3.13)
協力:国際協力NGOオックスファム・ジャパン
URL:www.oxfam.jp