◆「委員0人」8都県に減少
都道府県に設置される防災会議で、女性委員が少しずつ増え始めた。
1年前には12都府県で「女性委員ゼロ」だったが、読売新聞社の調べによると、今春「ゼロ」は8都県。東日本大震災後「防災の意思決定の場に女性を」という声が高まったことも背景にある。
都道府県の防災会議は、災害対策基本法に基づき設置される。知事が会長となり、地震や火山、風水害などに対する地域防災計画を作成する。委員は、国の出先機関や都道府県の職員、鉄道会社の社長などが務め、それぞれ40~60人程度だが、大半が男性だ。
内閣府男女共同参画局の調べでは、昨年4月1日時点で、東京、愛知、福岡など12都府県で女性委員はゼロ。全国の委員総数は2419人で、うち女性は87人だった。
ところが、今年3月末現在で読売新聞が集計したところ、全国の委員2483人(会長の知事を含む)のうち女性は103人に、「女性委員ゼロ」は8都県になっていた。1年前に「ゼロ」だった自治体のうち、神奈川県は今年1月、防災会議に5人の女性委員を指名した。「男女共同参画の視点であえて女性を入れた」と話す。同じく「ゼロ」だった高知、沖縄県でも各3人、大阪府と長野県で各1人が新たに就任した。女性委員を増やす傾向は他の自治体にも広がり、奈良県なども女性を増員した。
こうした動きの背景には、震災後、避難所での着替えや授乳など、様々な点で女性への配慮が足りないという批判が上がり、それが「女性自身が防災などの方針を決めていくべきだ」という声につながったことがある。これを受け、堂本暁子・元千葉県知事や女性研究者らで作る「男女共同参画と災害・復興ネットワーク」や地方議会が、「防災や災害支援に女性の視点を入れるため、防災会議に女性委員の積極的登用を」などと国に要望した。
女性登用の方法として多いのが、伝統的に女性がトップの看護協会会長が委員を務めるケース。さらに、都道府県職員の場合、男性だと「危機管理監」「総務部長」「土木部長」など幹部職員的な立場が目立つのに比べ、女性は子育て、福祉・医療分野を中心に「男女共同参画推進課長」「保健福祉センター長」などにも指名の範囲を広げている。
女性委員の存在が効果を上げている自治体もある。茨城県の防災会議は、3月末に県地域防災計画を改定し、避難所運営などの項目に「女性の参画を推進」という文言を加えた。委員である山口やちゑ副知事が、事前の調整も含め、積極的に進言した影響が大きいという。
災害対策と男女共同参画を研究する、東京女学館大学講師の浅野幸子さんは、「女性は男性と並ぶ地域の主役。看護、子育てなど、女性が得意とする分野から委員数を増やし、女性の視点を防災対策に欠かさないことが大事」と話す。(京極理恵、上原三和)
都道府県防災会議の女性委員数
(2012年3月末現在、女性知事を数に含む。専門委員は除く)
▽10人=徳島
▽9人=鳥取
▽5人=神奈川
▽4人=青森、富山、新潟、奈良、島根、香川
▽3人=北海道、福島、京都、埼玉、岡山、高知、佐賀、長崎、沖縄
▽2人=秋田、山形、栃木、石川、岐阜、滋賀、大分
▽1人=岩手、宮城、茨城、群馬、千葉、山梨、長野、静岡、三重、大阪、山口、熊本、宮崎、鹿児島
▽0人=東京、福井、愛知、兵庫、和歌山、広島、愛媛、福岡
(※4月以降変動あり。島根は今年度中4人増の予定。「0人」の自治体のうち、兵庫は12年4月に3人が就任した。さらに複数の自治体が増員を検討中)
http://www.yomiuri.co.jp/komachi/news/20120413-OYT8T00187.htm
(2012年4月13日 読売新聞)
協力:国際協力NGOオックスファム・ジャパン
URL:www.oxfam.jp