「東日本大震災 就労支援策/実態を踏まえ点検、工夫を」@河北新報
http://www.kahoku.co.jp/shasetsu/2012/01/20120130s01.htm

岩手、宮城、福島の被災3県の雇用環境は、復興需要の活発化に伴い改善しつつある。
だが、現実は依然厳しい。昨年11月の失業手当受給者数は合わせて約6万4千人。前年のほぼ2倍に上る。しかも、幾つかの問題点が指摘されている。
復興需要に伴う求人は建設・土木が主で、男性が就きやすい仕事が多いことなどから、女性が仕事を得にくい状況にある。性差による就職格差である。
沿岸部では、再開にこぎ着けた水産関連の事業所が従業員を募集しても、充足しないケースが目立つ。復興事業に人材が流れ、低賃金といった条件もあって、失業者が多いのに人手不足というちぐはぐな状況にある。
求職者、求人サイドの意向がかみ合わないこうした実態が、浮き彫りになってきている。
津波被害で夫や親を失った女性は少なくない。その経済的自立は復興に欠かせない。ようやく事業の再興を果たしながら、人材を確保できないのでは、地域経済の再建はおぼつかない。
政府は、これまでの就労支援策を点検する必要がある。1人でも多く再就職ができるよう改善すべきは改善し、今後に生かしていかなければなるまい。
女性の就職難は数字が物語る。昨年11月の失業手当受給者のうち女性は約3万7千人。男性を約1万人上回る。震災前の2月はほぼ同数だったのが震災後に女性が大幅に増加。その後、減少はしたものの、1万人の「男女格差」は続いたままだ。
震災前に女性が多く働いていた水産加工業や観光業の復興の遅れが、一因とみられる。
ただ、復興需要に伴い小売業などの求人も増えている。例えばパソコンの基礎とともに経理なども学べるような、多様で、より実践的な内容に職業訓練を拡充することが必要だ。
政府は、NPOや企業に事業を委託する形で女性や高齢者らの長期雇用を図るための支援策を打ち出している。支援先選定に当たる自治体は、介護・育児を抱える女性の声にも耳を傾け、安心して働ける職場が確保できるよう努めてもらいたい。
沿岸部の人材確保難については、再開事業所の低賃金が要因の一つとされる。ハローワーク気仙沼などは、事業再開に費用がかさみ、賃金にしわ寄せがきているという見方を示す。
被災各県は産業施策と一体で安定雇用を創出する「事業復興型」の対策を本格化させる。対象企業を選び、被災者を雇用した場合に助成金を出す事業だ。
既に再開した事業所も、この選定対象とするとともに、従業員の賃金底上げにつなげられるような支援策を講じられないか、検討する必要がある。
事業所にも、他企業と協業化を図ることを含め、経営を強化する道を探ってもらいたい。
4月にかけて震災特例で延長された失業給付の受給期間が相次いで切れ、求職者が一段と増える事態が予想される。安定的な雇用を創出し円滑な再就職につなげられるよう、万全の支援態勢を敷かなければならない。

2012年01月30日月曜日
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