7月13日、復興基本方針策定に向けてダイバーシティ視点の徹底を求める要望書を提出しました。

 

復興基本方針策定に向けてダイバーシティ視点の徹底を求める要望書(PDF)>/a>

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2011.7.13

内閣総理大臣
菅 直人 様
復興担当大臣
平野 達男 様
内閣府特命担当大臣(経済財政政策、少子化対策、男女共同参画)
与謝野 馨 様

東日本大震災女性支援ネットワーク
共同代表 竹信三恵子/中島明子
東京都文京区向丘1-7-8
Tel/Fax 03-3830-5285
http://www.risetogetherjp.org/

復興基本方針策定に向けてダイバーシティ視点の徹底を求める要望書

東日本大震災復興に向けての皆様のご努力に敬意を表します。
私たち東日本大震災女性支援ネットワークは、大震災からの復興に向けて、女性をはじめとする多様な立場の人々の意見が反映されることを求めて本年 5 月に立ちあがったNGOです。

6 月末、復興基本法が制定され、国の復興構想会議の提言が提出されました。被災県・市町村でも独自に復興計画が策定されつつあると伺っております。
災害からの復興は提言の「復興事業の担い手や合意形成プロセス」において明記された通り、「住民意見の集約にあたっては、女性、子ども、高齢者、障害者、外国人等の意見についても、これを適切に反映させ、また将来世代にも十分配慮しなければならない」ことは論を待ちません。しかしながら、復興に向けた計画・ビジョン等策定の意思決定の場には女性をはじめ障害者・外国籍市民・LGBT 等の性的少数者等の多様な市民の参画が保障されていない現状にあります。

また、2005 年に兵庫県神戸市で開催された「国連防災国際会議」において採択された成果文書「兵庫行動枠組」では、2015 年までの優先行動の考慮事項の中で「d. リスク評価、早期警戒、情報管理、教育・トレーニングに関連したあらゆる災害リスク管理政策、計画、意思決定過程にジェンダーに基づいた考え方を取り入れることが必要である。e. 災害リスク軽減計画を立てる際に、文化的多様性、年齢、及び脆弱な集団が適切に考慮されるべきである」と明記されています。復興の目的の一つは、震災前よりも「災害に強い社会」をつくることであり、そのためには、女性、子ども、高齢者、障害者、外国人等、多様な立場の人々が復興・防災の計画の段階から参画し、実施に中心的役割を担うことが不可欠です。

政府におかれましては、復興提言の趣旨を踏まえ、他の国際的な基準に沿って、更に内容を豊富拡充した基本方針の作成に向けて、災害時において社会的脆弱性を持つことを強いられている人々の健康と人権を守り、多様な当事者の意見反映を確保し、復興後の市民に生活困窮や所得格差の拡大が生じることのないよう取り組まれますよう、以下の通り要望します。

1 復興に係る計画の策定、復興庁や対策本部等復興計画の実施に当たる組織構成や意思決定機関に女性を最低 30%参画させること

2 被災の状況を詳細に調査し、その実態を正確に把握すること。その一環として被害と復興の状況に関する情報を性別で収集し、ジェンダー別統計として示すこと。性別による男女の被災状況の共通点、相違点の要因を分析すること。これらの分析に基づいて復興支援や防災計画を策定、実施し、(被災前よりも)災害に強い社会を築くこと。

3 基本方針に男女平等の推進を盛り込み、数値目標と達成期限を設定すること。地方自治体の計画等でも同様に対処するよう求めること。

※数値目標の例
・住民からなる合意形成の機関において、構成員の最低30%を女性とすること
・合意形成のファシリテーターなどは、男女50%ずつとすること
・復興事業において創出される雇用機会の50%を女性向けとすることを、事業実施企業に義務つけること
・3 年後に、法定労働時間で就労した場合、生活保護受給金額以上の収入を確保できる働き方となる女性の割合を、男性フルタイム労働者の全国平均である80%とすること

4 内閣府男女共同参画局から出された通達が、都道府県や市町村においてどの程度いかされたのか、あるいはいかされなかったか、またどの部分がいかされ、どの部分がいかされなかったかについて調査し、その要因について検証する。それに基づき、今後より効果的な通達の周知の方法を検討すること。

5 基本方針に「雇用の創出」のみならず労働者の保護についての項目を盛り込み、よりよい雇用機会と労働環境を確保するための制度を導入すること。また、被災地の地域別男女別失業率、就職率などを逐次公表すること。

※ 想定される制度の例
・最低賃金を引き上げる
・社会的企業を制度化し就労困難者の雇用を創出する
・世帯の生活が賄える賃金が支払われるよう助成制度を導入する

6 多様な住民が復興の基本方針に意見反映できる参加の枠組みを作ること。都道府県及び市町村の復興基本方針・計画の策定決定にあたっては、さまざまな立場にある女性、外国籍市民、LGBT 等の性的少数者、障害者などとの協議、聴き取りの場を設けること。これらの人々が意見を言いやすいように配慮した場の設定を行なうこと。
※ 取り組みの例
・あらゆる年代の女性住民、多様な当事者団体(NGO、NPO 等)の代表者、地方公共団体の男女
共同参画関連部署の担当者などとの協議・聞き取りの場を設けること
・ヒアリングの実施

7 基本方針では、個々の人の生活再建の拠点となる居住の場について、ハードとソフトを組み合わせた安心・安全な居所についての明快な方針をたてること。
・避難所、その他全国各地に避難している人々の居住の場、仮設住宅、借上げ住宅、復興住宅の計画・設計・管理運営について、多様な被災者の参画と人権を確保し、かつ個々の人のニーズに応じた相談と支援を可能にし、それらを効果的に運営する共同の場を確保すること。
・被災者の居住の場の計画・設計・管理運営には、女性、障害者、高齢者等のニーズに応えられる人や専門家等が参画して決定すること。
・被災者の居住の場において、プライバシーと安全が確保できるよう配慮されていること。
・被災者がどのような場にいても、ワーカーの配置等、相談と支援を可能にする体制をつくること。
・これらを確保する上でも、居住の場に多様な形態の共同の場(コミュニティスペース、共同リビング、共同キッチン、サロン等)を必ず設け、被災者の交流、支援者との交流、様々な文化活動、情報拠点として機能できるようにすること。
・仮設住宅、復興住宅においてはグループホームの機能と形態を持ったものとする。

8 基本方針に、暴力のないコミュニティの創造という趣旨の項目を盛り込み、女性に対する暴力や子どもへの虐待の実態を把握し、具体的な対処法と今後の防止策を講じること。
※盛り込むべき項目の例
・教育機関における予防教育
・継続的な啓発活動
・仮設住宅のコミュニティスペースにおける民間支援団体による相談事業

9 外国籍市民、LGBT 等の性的少数者、障害者などの人権への配慮等を盛り込み、啓発活動・相談事業に取り組むこと。地方自治体の計画等についても同様とすることを求めること。
※具体的な項目の例
・バリアフリーや安全な地域作り(例えば街路灯の増設など)の推進
・多言語の広報
・学習指導要領への位置づけ

10 基本方針に、被災地での生活保護基準の実態に即した緩和・特例措置を盛り込む事こと
※項目の例
・車所持でも生活保護受給可能とすること

11 復興支援関連の交付金の創設にあたり、緊急雇用創出事業によるものも含めて、男女平等推進関連事業の配分枠を設け、女性の就労促進に向けて民間支援団体と協力・連携を行うこと
※ 事業の例
・仮設住宅訪問による女性の雇用促進
・子どもの給食事業、子どもの学習支援、子どもの保育といった部門に女性の就労枠を確保すること

12 脱原子力発電と再生可能エネルギー促進の方向を基本方針に盛り込むこと。原子力災害復興の協議の場に、現地に居所している多様な当事者の参画を求めること。
原発事故が東北の主力産業である食料生産を大きく阻害し、復興を大きく妨げているうえ、劣悪雇用の温床になっていることから、これらの問題解決のため、原発エネルギーへの依存ゼロを目標に掲げた中長期的工程表をつくること

13 方針策定と実施にあたって留意すべき点について
「兵庫行動枠組 2005-2015」(日本も共同提案国)を踏まえて策定された「防災協力イニシアティブ」の基本方針3では「女性は災害時に特に被害を受けやすい。したがって、防災協力のすべての局面においてジェンダーの視点に立った支援を行う」と記載されている。日本は共同提案国および当事者国として、この原則をすべての復興・防災計画、政策、事業、評価に反映させなければならない。
「兵庫行動枠組み 2005-2010」については、国連国際防災戦略(UN/ISDR)が詳細な実施のためのガ イ ド ラ イ ン を 発 表 し て い る 。(『Words into Action: A Guide for Implementing the Hyogo Framework』http://www.unisdr.org/files/594_10382.pdf )
また、途上国の災害復興・防災・コミュニティ開発・ジェンダー分野におけるドナー国としての知見、経験、人材をフル活用すべきである。

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