東日本女性支援ネットワークは、2月7日、女性向け雇用について被災3県の全県・市町村に向け要望書を郵送しました。自治体が事業を行う際、女性雇用にも焦点をあてるように要望しています。
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2012年2月7日
被災自治体関係各位
東日本大震災女性支援ネットワーク
共同代表 竹信三恵子/中島明子
連絡先:東京都文京区向丘1-7-8
TEL&FAX03-3830-5285
被災地における女性向け雇用支援策の拡充のお願い
東日本大震災の復興にあたり、政府・地方自治体は緊急雇用支援として多様なメニューを用意していますが、被災地の女性からは、なかなか職につけないという声が上がっております。2011年12月11日の朝日新聞の一面によれば、岩手、宮城、福島の3県全体で、失業保険の受給者に占める女性の割合は、被災前の51・8%から58.1%となり、1年間で7%も増加しています。女性は男性よりも、非正規雇用の割合が高く、雇用保険に加入していない状態で働いている場合も多いことを考えますと、男性に比べ、かなり高い割合で女性が失業していることが推測されます。このような状況の中、女性の雇用状況を改善することは急務と言えます。
東日本大震災女性支援ネットワークは、昨年12月19日、小宮山洋子厚生労働大臣に面会し、女性の雇用状況のさらなる改善のための女性に向けた雇用支援策の拡充を要望したところです。これを受け、今年に入りまして引き続き、厚生労働省と話し合いの場を持ち、厚生労働省でも対応策を進めていただいておりますが、被災地の各地方自治体においても、女性の雇用拡充のための施策を進めていただけますようお願い申し上げます。
特に、第3次補正で創設された「生涯現役・全員参加・世代継承型雇用創出事業」では女性も事業対象となっています。県・市町村においても、計画の段階から「女性」を積極的に事業対象のモデルとして組み込み、当該事業を通じ女性の雇用が増加するよう、女性を対象とした事業を推進する団体が当該事業に応募し、実際に事業を展開できるような支援に取り組んで下さい。
今後とも、政府、県、市町村が一体となって被災地の女性雇用状況の改善に取り組まれることを強く望む次第です。
具体的要望項目
被災地の女性雇用に関する支援は多方面で、長期にわたり必要となりますが、支援策を講ずるにあたり、下記の点を特に考慮して下さいますようお願い申し上げます。
第3次補正で創設された「生涯現役・全員参加・世代継承型雇用創出事業」では女性も対象となっていますが、県・市町村の計画の中には「女性」を事業対象から外している被災自治体もみられました。この点、各自治体において、女性を対象とした事業を行う団体を支援し、当該事業が実際の女性の雇用につながるような取組を積極的に行ってください。また、女性も対象となることをNPO/NGOにも改めて周知していただきたいと思います。
たとえば、事業例としては、現在民間保育所の再建の目処がたたない中、無認可で行っている保育サービス主体に委託し、保育事業として「生涯現役・全員参加・世代継承型雇用創出事業」の枠で行うことなどが考えられます。
男女共同参画局ウェブサイトの災害ページに掲載されている事例もぜひ参考にして下さい。
*「阪神・淡路大震災における女性の参画によるコミュニティビジネスに関する事例」
http://www.gender.go.jp/pdf/saigai_27.pdf
*「男女共同参画の視点からの「東日本大震災に係る復興基金」の活用例」
http://www.gender.go.jp/pdf/saigai_26.pdf
*「男女共同参画の視点を生かした地域における暮らしの再生に関する事例(東日本大震災からの復興)」
http://www.gender.go.jp/pdf/saigai_25.pdf
この事業におきましては、厚生労働省で、「復興への提言」及び「東日本大震災からの復興の基本方針」で示された諸原則や施策の考え方との整合性がとられているかという観点をチェック項目として挙げていますが、「復興基本方針」の「基本的考え方」には、「(ix)男女共同参画の観点から、復興のあらゆる場・組織に、女性の参画を促進する。あわせて、子ども・障害者等あらゆる人々が住みやすい共生社会を実現する。」との項目が入っています。「女性」は、復興の担い手として重視されていることに、再度ご留意下さいますようお願い申し上げます。
この点につき、男女共同参画局からも昨年12月15日に「復興の過程における多様な視点の反映について」という文書において、上記基本的考えに基づき、「まちづくりにおける女性、
子ども・若者、高齢者、障害者、外国人等の意見が反映されやすい環境整備、女性や高齢
者等の雇用機会の確保といった復興の様々な場面における具体的な施策」への配慮を自治体に要請しています。こちらもぜひ参考にして下さい。
http://www.gender.go.jp/pdf/saigai_24.pdf
雇用創出基金事業のような復興支援事業に関し、被災地の女性団体からは、「応募しようと思ったが、自治体の職員とうまくコミュニケーションが出来ない間に時期を逸してしまった」という声を聞きます。多くの女性団体は事業に応募する際のノウハウを持っていません。自治体において、女性団体が応募しやすくなるよう特別な支援を行って下さい。たとえば仮設住宅の集会所、地域の女性センターを通じ、十分な周知を行って下さい。
また、経験の少ない団体が応募しやすいように、十分な周知・応募期間をとって下さい。
配偶者や親を震災で失った被災地の女性たちは、安心で経済的自立ができる仕事を望んでいます。被災地では、配偶者や親が亡くなって経済的な支えを失っている例が少なくありません。その意味からも、量としての雇用の確保ではなく、女性が就労しやすい質の高い雇用を確保するための施策を実施して下さい。
女性は被災下で、ますます家庭でのケア労働負担が重くなっており、家庭と両立できるような働き方のシフトが必要です。被災下という特殊な状況において、公務員はもちろんのこと、一般の企業においても、生活と仕事が両立できるよう柔軟なシフトを導入し、女性が働きやすい仕組みをつくるべきです。こうした働き方を可能にするための施策を実施して下さい。
被災地では、民間保育園の再建が立ち行かず、保育園が足りない状況の中、心ある保育士さんたちが、収入を度外視し、無認可保育園を立ち上げ、子どもを預かっているところが少なくありません。子育て世代の就労に、保育の確保は欠かせません。公立保育園のみならず、保育を必要とする全ての子どもが保育を受けられるように、被災地においては無認可の保育園にも当分の間補助金を交付する等、保育を望む人すべてが過度の負担なく保育の場を確保できるようにして下さい。
パソコンの基礎を学んでも、それだけで仕事にはなかなか結び付きません。たとえば、パソコンの基礎とともに経理が学べるような、実践的な職業訓練や、希望する女性が建設関係の仕事にも参入できるよう、建設機械を使いこなすための実地訓練をともなった身のある職業訓練など、女性や肉体労働に向かない人々でも経済的に自立できる就労へ向けた多様な仕事の開発を促進して下さい。
被災地における女性の雇用状況を正確に把握し、時機にあった施策を打ち出すため、男女別統計の収集・公表をお願いします。男女別に併せ、年齢別、民族別等、出来る限り細やかな雇用状況の把握に努めて下さい。
以上
協力:国際協力NGOオックスファム・ジャパン
URL:www.oxfam.jp