阪神大震災関連のニュースですが、東日本大震災の復興・支援策を考える上でも
重要な情報です。
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「ニュースUP:兵庫の借り上げ復興住宅、迫る「立ち退き」期限=姫路支局・山川淳平」@毎日jp http://mainichi.jp/select/opinion/newsup/news/20120215ddn013040027000c.html
<おおさか発・プラスアルファ>
◇新たな「被災」作るな
阪神大震災(95年)の被災者向けに兵庫県内の自治体が民間オーナーや都市再生機構(UR)から借り上げた復興住宅が16年12月から順次、20年の返還期限を迎える。転居を迫られる入居世帯は約6000に及ぶ。復興とは何なのか。神戸の同じ借り上げ住宅で暮らす2世帯の窮状を通して考えた。
■「空き対策」裏目
「震災から17年たって被災した気分よ」。神戸市須磨区の借り上げ住宅に住む繁畑あさ子さん(97)は、ため息を漏らした。震災時には同区の市営住宅にいたが揺れをほとんど感じず、近くの避難所で3日間過ごして自宅に戻った。その自宅も、老朽化で07年に立ち退きを求められた。それ以前にも高速道路工事に伴う立ち退きを経験していた繁畑さんは、「終(つい)のすみか」のつもりで借り上げ住宅に移った。
しかし昨年、返還期限の通知が届き、3回目の立ち退きを迫られていることを初めて知る。市営住宅からの転居先として借り上げ住宅を選び手続きをしてくれたのは、通っていた介護老人保健施設の職員だ。ただ、期限について繁畑さんは理解していなかった。
借り上げ住宅では、周囲の手助けを受けながら暮らしてきた。年金の4万円と義弟の援助のみで生活していた窮状に、見回り活動をしていた民生委員の片岡猛自治会長(64)が気づき、生活保護と保険の手続きをしてくれた。ところが、新しい生活に慣れ始めた1年後、スーパーからの帰り道で転倒、手足を骨折して2カ月間入院した。退院後も「また転ぶのでは」という恐怖心から、外出がままならなくなった。追い打ちをかけるように、立ち退きを迫る通知が届いたのだ。
借り上げ住宅には、被災者以外の住民も多く住む。住宅を再建した被災者が引っ越した後の空き部屋対策として、各自治体が入居者を公募したからだ。現在では全体の2割を超え、被災者同様に退去を迫られている。こうした現状を知ると、震災とは別の新たな被災者を自治体が生み出そうとしているように、私には思えてならない。
■「先が見えない」
震災で被災した入居者も、もちろん先が見えず苦しんでいる。
「追い出されたらどう生活していけばいいのか」「ここに住み続けたい」--。繁畑さんと同じ棟で、寝たきりの母を介護しながら自治会副会長を務める森田明子さん(72)の元には、入居者らからの相談が次々に寄せられる。ただ耳を傾けることしかできない。
森田さんは震災で須磨区の木造2階建て自宅が全壊。母マサエさん(101)と避難所や仮設住宅での生活を経験し、98年に借り上げ住宅に移った。07年にマサエさんが椅子から転倒し、脳内出血の後遺症で言葉を失った。肺炎などで入退院を繰り返し、寝たきりに。以前は月に数回、老人ホームのショートステイを利用していたが、10年8月には高齢を理由に受け入れを断られた。
たん吸引のため、落ち着いて眠れる夜はほとんど無い。午前6時半に起き、午前2時に最後のオムツを交換する付きっきりの日々が続く。「母の面倒をみるのは私しかいない」と気丈に振る舞うが、自身もC型肝炎を患っている。
■「希望」のモデルに
神戸市は、他の市営住宅への優先的あっせんや最大40万円の引っ越し費用の負担などを提示した上で、転居を求めることを決めている。県は一部棟単位での買い取りを検討する一方、早期に住み替える住民には最高30万円の支援金を支給する方針だ。戸数の少ない宝塚市は、住み続けてもらうことを前提にURと協議するが、他市は対応を決めかねている。多くの借り上げ住宅を抱える県や神戸市の担当者は「条件のいい住居で低家賃だから、住み続けたい入居者が多いのは当たり前だ。法律上も問題ない」とする。
自治体は多額の財政負担をしており、通常の公営住宅入居者らとの公平性の問題もある。「戸数が少なければ居住の継続を前提に協議できるが、戸数が多いと対応は困難だ」と漏らす担当者の言葉にも、苦悩がうかがえる。
昨年3月の東日本大震災以降、兵庫県をはじめ県内の各自治体は被災地を積極的に支援している。だが、大震災を経験した自治体に求められているのは、直接的な支援にとどまらず、将来への希望を与えられるような「17年後の今」を見せることではないだろうか。「期限が来たから」と追い出すのではなく、「立ち退きたくても立ち退けない」と訴える高齢者らの声に耳を傾け、柔軟な対応をとってほしい。
「朝、目が覚める度に『なぜ今日も生きているのだろう』と考える」と、繁畑さんは私の前で繰り返した。かける言葉がなかった。101歳の母親と暮らす森田さんの願いは、一つだけだという。「母たちには最期ぐらい静かに逝かせてあげたい」
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■ことば
◇借り上げ復興住宅 神戸市約3800戸▽県約2200戸▽西宮市約450戸--など計約6600戸あり、約6000世帯が入居。各自治体の負担は、神戸市約14億円▽県約12億円▽西宮市約3億9000万円--などで、財政を圧迫している。一方、高齢者を優先入居させたため、高齢化率(65歳以上の占める割合)が約50%と高く、県全体(約22・6%)の2倍以上に上る。立ち退きで、震災後にできた新たなコミュニティー崩壊の恐れもあり、入居者の負担は心身ともに大きい。
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毎日新聞 2012年2月15日 ++++++++++
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