避難所の閉鎖に伴い応急仮設住宅等での居住段階となりました。仮設住宅では、阪神淡路大震災ではみられなかった集会所や福祉住宅にスロープが付いたり、民間賃貸住宅を活用した「みなし仮設住宅」が採用され、またできるだけ町会ごとに入居する等の前進もありますが、新たな問題もあり対処が必要です。

■仮設住宅は人が生活する「住宅」の提供を!
仮設住宅の供給については、国交省が各県の要請を受けてプレハブ建設協会に発注しました。こうした中で福島県が仮設住宅14,000戸の内4,000戸を県内業者に発注し、大半を県産材を使用した木造住宅にしたことは、居住性と地域産業・雇用支援の面で注目されています。

問題はプレハブ住宅の質です。とても「住宅」とはいえないものが相当数供給されました。外観の「家」らしさに欠け、防音性・断熱性能が劣る等問題が多いのです。緊急一時施設であったとしても、人が生活する住宅としての最低限の質を確保すべきです。特に震災・津波・放射能汚染により住宅を失ない、家族を失った人々の器は、その精神的ダメージを回復するものでなければならないはずです。

併せて住宅だけではなく生活施設の整備も必要です。車社会になった地域で乳幼児のいる女性、高齢者、障害者は買い物の困難に直面していますが、買い物サービスより仮設店舗の設置の方が買う楽しみや人々との交流ができてよいという報告もあり、コミュニティの活性化へのヒントになります。

■問題が見えなくなる!
避難所に比べればプライバシーも相当によくなったとはいえ、そのことが単身者の引きこもりやDV等の問題を外から見えにくくしています。特に大規模仮設団地では目が行き届かず、自死される人を出してしまいました。また、公衆の目があった避難所から狭小で家族のプライバシーの無い仮設住宅に移転することが引き金となって問題が一気に噴出することもあります。単身女性やシングルマザー、障害のある人々や外国籍の人々等、マイノリティーの人々の要求は見えにくく、潰されやすく、苦しんでいる人が多いと推測されます。このことは「みなし仮設住宅」利用者についても同じです。仮設住宅居住者に比べれば比較的職(収入)があり活力のある世帯が多いといわれますが、単身で収入もない人もいるのです。

■今緊急に必要なこと
仮設住宅が、被災した人々の生活再建のためのステップアップの場となるように、希望をもって生きる意欲を支え、抱える困難を少しでも解決しておく必要があります。他方仮設団地が生活再建の困難な人々が集中してゆく可能性も大きく、そうした点から5つの課題を挙げておきます。

第1は、隠れた問題を発見し、少数の人々の要求に配慮すると同時に、各自治体や支援団体で取組んでいる人的支援を、さらにコミュニティの活性化と、個々の人々の課題にも応えられる支援レベルに引き上げること、第2に、女性、高齢者、障害者のために仮設グループホームの供給を増やすこと、第3に、仮設住宅や「みなし仮設住宅」の継続居住の方策を含め、被災者自身が生活再建に向けてのビジョンや計画を語れるような支援を行うこと、第4に、仮設住宅については最低限「住宅」としての条件と人的支援をガイドライン等に入れること、最後に仮設住宅団地では人々が暮らすために必要な店舗等の施設の整備が必要であること。これらの課題は、今後の大震災に備える上でも急務だと思います。

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