東日本大震災から1年がたちました。
震災後、私たち東日本大震災女性支援ネットワークは、避難所の在り方、復興計画、そして防災会議と、あらゆる場面で人口の半分である女性のニーズが反映されていない現実を目の当たりにし、女性や多様な主体のための政策提言に尽力してきました。

災害時に女性にも目を向けた多様な支援が必要という考え方については、被災者をはじめとする多数の女性たち、マスメディア、議員の方々のご協力もあり、国会などでも取り上げられるようになりました。

また、国連女性の地位委員会(CSW)の場でも、日本政府の代表から、災害対応や復旧・復興で女性の視点を取り入れることを訴える決議が提案され、全会一致で採択されました。

しかし、現場での女性を取り囲む状況は、十分な対策がとられない中、深刻さを増しています。

当ネットワークが働きかけて公表された男女別の雇用統計では、求職率も失業手当の給付率も女性は男性を上回り、女性の雇用の厳しさが浮かび上がっています。震災で夫や親を失った女性や若者は多く、男性世帯主への依存を前提にしない働き方の再建は急務です。

被災後、警察庁からは、レイプや強制わいせつなどの女性への暴力の件数はむしろ震災前を下回っているという報告が出ました。しかし、支援者からの報告では、これらの暴力は避難所でも聞かれ、また、最近ではDV相談の増加も目立ち始めています。被災下で、暴力にあった女性をどう保護するかのシステムなしでは、警察への被害届も安心して出せず、暴力が地下に潜ることを、これらの事例は示しています。

しかし、地域の防災会議への女性の参加や、防災計画への女性の視点の反映がされていない自治体は、4割を超えるとの調査も出ており、こうした視点が復興に十分生かされているとはいえない状況です。背景には、政策や組織の意思決定への女性の参画度が、極めて低い日本社会の現状があります。

こうした点を改善するため、私たちは、とりあえず、地域の防災会議に参加してほしい女性の人材リストを地域の女性たちの手でつくる「人材リストアップ運動」を呼びかけています。このリストをもとに、自治体に、防災会議への女性の参加を求めていくとともに、人材リストに載せた女性たちを中心に地域に「女性防災会議」をつくり、多様な被災者のニーズを反映させた復興計画をつくっていってはどうでしょう。

そんな女性たちの助け合いの核をたくさんつくり、生活の原点からの支援を求める場をつくることは、子どもや高齢者、障害者、外国人、セクシュアル・マイノリティをはじめ、さまざまな人々の参画を促すことにもなるはずです。

私たちは、引き続き、草の根の声を拾い上げ政策の場に届けるため、力を尽くしていくつもりです。
そのためにも、引き続き、みなさんのご協力をお願いします。

 
                東日本大震災女性支援ネットワーク
                      共同代表 竹信三恵子

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