陸前高田市の広田半島営農組合女性部(村上豊子部長、11人)は、地元産の食材を使ったおやきなどを手作りする工房「めぐ海(み)」を再建した。前の工房は津波で全壊。一時は再建を諦めかけたが、全国から寄せられた支援が後押しとなり、再開が実現した。今後の目標は、魅力あふれる地元の味を全国に届けること。力を合わせて前進する「広田のおふくろ」たちは、支援への感謝と復興への願いを一品一品に込める。

真新しい調理場に6日、かっぽう着姿の女性たちの明るい声が響いた。「味はどう?」。同市の黒崎仙峡温泉感謝祭で販売するおやきやまんじゅう、かまもち作りの作業だ。

おやきは、米粉を使った生地でホタテや昆布を包んで焼いたもので、もちもちした食感がある。中身はワカメやイサダ、サツマイモなどさまざま。食べた人を温かい気持ちにさせる優しい味が特徴の工房の看板商品だ。

女性部は、2010年11月に同工房を立ち上げた。地元産の食材を使ったお菓子やみそを作り、同温泉や高齢者施設などに販売していた。リピーターも増え、売り上げが軌道に乗り始めた矢先に震災に見舞われた。

工房は全壊し、自宅を失ったメンバーもいる。村上部長は「もう再開するのは無理だと思った」と振り返る。しかし、県内外から支援に来る人や調理器具の提供を申し出る団体があり、「また食べたい」という声に背中を押された。

同市広田町山田の新工房は4月下旬に完成。当面はお菓子を中心に生産を始め、徐々に本格稼働を目指す。

メンバーは新商品のアイデアを練ったり、味について納得するまで話し合う。お菓子作りの取りまとめ役の臼井美奈子さん(66)は「少しずつみんなで作る感覚を思い出してきている。看板商品も増やしていきたい」と、仲間と取り組める喜びを語る。

村上部長は「全国から多くの支援を受けたからこそ、地域のいいものを全国に発信していきたい思いが強くなった。みんなで力を合わせて頑張っていきたい」と新たな目標を胸に前を向く。

http://www.iwate-np.co.jp/hisaichi/y2012/m05/h1205084.html

(2012.5.8)

 


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