私が東日本大震災女性支援ネットワーク世話人のお話をいただいたのは、ネットワークの取り組みにおいて、マイノリティ女性、特にレズビアン、バイセクシュアル女性、トランスジェンダーの人たちの視点や声を反映するためでした。

LBTは、性的指向・性別自認・性別表現によって、時に典型の「女性」に関する議論から自然と排除されてしまうことが多くあります。そのような現状において、「女性支援ネットワーク」が、女性でありLBTであるという複合差別の対象となりがちでありながら見えない存在であるLBTを取り組みの中に含めようとしたことは、画期的なことであり、私たちLBT当事者にとって嬉しい驚き、励ましとなりました。

昨年3月、岩手県内に住むLGBTのための「岩手レインボー・ネットワーク」というグループを立ち上げました。

レインボーの旗は、平和の象徴として使われることもありますが、多様性の象徴でもあることから、LGBTを含む多様なセクシュアリティの人々のシンボルとして世界各地で用いられています。
 

現在までに、岩手県内各地のLGBTの人たちと少しずつつながりつつありますが、未だ、パートナーを亡くしたりホルモン療法を続けられなくなったり、仮設住宅への入居を強いられるなどの形で震災による影響を受けたLBTとは出会うことができていません。LBTが岩手県沿岸部にいないのではなく、完全に見えなくさせられていると私は思っています。

レズビアンであることを理由に職場を失くしたことのある同じ東北に住む友人は、震災後に女性支援に携わる人たちが「こんなときに男も女もない」と言われているのを知り、「女性の問題でさえこういう風に扱われる。レズビアンなんて言っても、分かってもらえるはずがない」と話していました。「しばらく、自分がレズビアンだって忘れてたよ」とも。岩手県内で女性支援を行う友人は、「女性たちからたくさんの相談を受けるようになってきたけれど、LBTの人たちには出会えていない。出会っているはずなんだけれど、いるはずなんだけれど、声を上げられないんだね」と言いました。

私たちがもう少し見える存在になったときには、同性パートナーが津波で流されていてもその死を知らされない、トランスジェンダーであるために避難所のトイレや風呂の利用を制限される、同性パートナーどうしで家族として仮設住宅に入居できない等、さまざまな困難に直面することが予想されます。

福島第一原発事故により従来の生活や安心を奪われた方々も含め、震災の影響を受けられた方々はいまだに大変な生活を強いられています。そしてその中に、必ずレズビアン、バイセクシュアル女性、トランスジェンダーの人々は存在します。今日会場にお越しの皆様の復興の取り組みにLBTの視点を入れていっていただくことで、見えなかったLBTの存在や現実の課題が、徐々に可視化されていくと信じています。すべての人がありのままを尊重される復興後の社会が実現するように、強く願います。

東日本大震災女性支援ネットワーク世話人 岩手レインボー・ネットワーク 山下 梓

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