政府が、年間被ばく量を1mSV/yから20mSV/yの暫定基準値に引き上げたことによって、毎時3.6μSV以下であれば、学校で授業を行うという恐ろしいことが起こってしまいました。それを受けて、子どもたちの放射線被ばくに対し、不安を抱える保護者が集まり、5月1日「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」を設立しました。

まずは自分たちで放射線量を測定して、除染をしたいんだというグループ「除染・測定」グループを作り、線量計を貸してくれるというボランティア団体に協力してもらい、活動を始めました。しかし、自分たちが測定や除染をしていくうちに、体調を崩してしまう人も現れ、被ばくのリスクや、国や自治体が除染を始めたことを受け、「測定・除染」の活動は一旦休止することにしました。

更に、避難したいけどどこに避難すればいいのかわからない、仕事があるから子どもだけ避難させたい、今すぐ避難できないからせめて週末だけでも避難したい等、様々なニーズが生まれました。しかし、自主的に避難しても国が指定した避難区域や避難準備区域、計画的避難区域以外の地域は、国や東電からの賠償が全くありません。また、避難したくても、私たちはインターネットでしか避難情報をえることができませんでした。そこで、自主避難者も受け入れてくれる自治体やボランティア団体とコンタクトを取り、避難に関する情報を集め、避難のサポートをする「避難・疎開・保養」グループを作りました。

「周りと放射線に対する考え方の温度差がある」という声も上がり、もっと多くの人に放射線についてを学んで欲しい、自分も正しい知識を身につけたい、また、すぐには避難できない事情があるのならば、最大限の放射線の防護策を講じなければならないと考え、「知識普及・防護」グループを作り、様々な講演会やイベントの企画運営もしてきました。

福島第一原子力発電所の事故が起こり、それまでの生活とは一変し、空気のありがたみ、水道水を飲めるありがたみといった、普段感じられないことを感じました。なぜこのようなことになったのか、悲しみに明け暮れる日々もありましたが、いつまでもそうしているわけにはいきません。私たちは現実を受け止め自分たちで立ち上がらなければいけない。そしてこの原発事故の真実を伝えていかなければいけないと思いました。

私には子どもがいませんが、放射線の影響は自分の世代にとどまらず、次の世代その次の世代までずっと続きます。自分だけの問題ではない、そう思うとじっとはしていられません。

人それぞれ悩みがあるとは思いますが、解決出来ない問題はありません。ましてや、国中が、世界中が、子どもたちを助けようと手を差し伸べているのです。私たちは、勇気を出してその手を掴めばいいのです。

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