福島第1原発事故を受け、京都府などに避難してきた人たちが、体験記「避難移住者たちの手記」を発行した。
福島や東京などから自主避難してきた10人が執筆し、家族離散のつらさや、放射能汚染に対する周囲とのギャップに苦しんだ経験がつづられている。

府内を含む関西の避難者でつくる「東日本原発事故体験者ユニット」が製作した。

仙台市から子ども2人と京都へ避難した女性は、屋外ではマスクを付けるなど内部被ばくを防ぐ努力をしたが、子どもの尿から放射性セシウムが検出され、避難を決めた経緯を書いた。「同じ苦しみを他の人に味わってほしくない」と訴える。

夫を福島県郡山市に残し、娘とともに大阪に避難した女性は「便利に暮らすことは家族と暮らすことより大切ですか」と呼び掛け、関西電力大飯原発(福井県おおい町)の再稼働に反対した。

低線量被ばくについて夫や親族、学校から「気にしすぎ」とあしらわれた経験や、避難の是非をめぐって夫婦間に亀裂が入ったケースも記されており、放射能汚染が人間関係にも影を落としている現実を伝えている。

同ユニット代表の中村純さん(41)=左京区=は「関東からの避難者には公的支援がほとんどなく、周囲の理解も少ない。原発再稼働が現実化する中、気持ちを伝えたかった」と話している。

A5判38ページ。300円(送料別)。申し込みは「内部被曝(ひばく)から子どもを守る会関西疎開移住(希望)者ネットワーク」のホームページで。

京都新聞 2012年07月04日 22時50分
http://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20120704000134

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