●東日本大震災女性支援ネットワーク 調査チーム 池田恵子 柘植あずみ ゆのまえ知子 吉浜美恵子

2 月11 日に雪の舞う厳寒の仙台、3 月25 日には春の日差しがあるものの吹雪の盛岡、そして5 月6 日に八重桜や菜の花が咲く郡山で、調査チームのワークショップを開催しました。
 

●ワークショップの目的

調査チームは、昨年6 月から宮城、岩手、福島の三県を中心に、3つの調査・プロジェクトを進めてきました。まず、被災者への支援をしている方たちから、支援経験と課題についてお話を聞く「支援者調査」、被災された方が自分たちの想いを写真に撮って、その気持ちを表現する「フォトボイス」プロジェクト、そして「災害・復興時における女性と子どもへの暴力」に関するアンケート調査です。

ワークショップでは、その中間結果をとりまとめて、調査に協力いただいた方や「フォトボイス」プロジェクトに参加してくださった方に報告し、意見や感想を出していただきました。そこからさらに、復興計画や政策、今後の防災などの提言を出しあいました。

三県の協力団体との連携でワークショップは開催できました。みやぎジョネット(宮城)、あじさいの会(岩手)、女性の自立を応援する会(福島)、NPO 法人 参画プランニング・いわて、もりおか女性センターの皆さんに感謝申し上げます。


 

●被災者でもあり支援者でもある参加の皆さん

最初にワークショップの案内と参加のお願いをお送りすると、みなさん「えー、こんなに長時間やるの」という反応が返ってきました。宮城ではおよそ3 時間、岩手、福島では4 時間かけてのワークショップです。それに仙台、盛岡、郡山とその周辺からだけではなく、女川、宮古や陸前高田、南相馬やいわきなど遠方からの参加もありました。被災されて避難所から仮設住宅や借り上げ住宅に移った方、壊れた自宅を修繕中の方、原発事故によって避難している方、放射線を気にしながら自宅で生活を続けている方、これまでの仕事や社会的な役割をこなしながら支援を続けている方にとって、ワークショップの会合に集まり、この時間を確保するのは大変なことです。
 

●多岐にわたったワークの内容

でも、ワークショップが始まると、調査チームからの報告への質問や意見、感想、そして政策提言に集中し、あっという間に終了の時間になりました。フォトボイスでは、ご自分が撮った写真が紹介され、その場でご自分が説明をすることで、他の参加者からの共感が得られ、励ましや自信につながったと思いました。支援者調査では、違う立場の支援者からの意見が出ることで、多角的な視点から課題を検討できました。

提言では、避難時や復興時の性別役割分業がもたらす問題の指摘、復興や防災についての意見を表明し意思決定できる仕組みづくり、世帯単位での支援制度の見直し、必要な情報をすぐに得られない状況の改善、雇用、教育、医療、福祉、女性専門家の育成など幅広い領域で活発に話し合いました。

調査結果とワークショップでまとめた提言を、復興政策、防災政策におけるジェンダーや男女共同参画の視点の必要性についてまとめ、東日本大震災女性支援ネットワークとしての「復興計画・復興政策に組み込むべき提言」に入れていきます(すでに宮城・岩手の内容は反映済み)。

夜の開催だった宮城以外では、ワークショップの後に交流会をもちました。再会できたことを互いに喜び、初対面の人どうしはネットワークを広げました。調査の成果やワークショップの提言を生かしていくことを約束し、また会えることを願って、それぞれ帰路に着きました。

 

※「かだりば通信 5月」に掲載された記事です。

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