●全国父子家庭支援連絡会加盟 宮城県父子の会 村上よしのぶ

遺族基礎年金の問題

父子家庭の父には受給権が存在しないが子に対しては受給権が存在します。しかし、父と子が同居していると子に対して遺族基礎年金は支給されません。父と子が別居しないと子に対して支給されないのです。この問題は主夫世帯、妻が生計維持者で夫が専業主夫である場合も同様の問題があります。どんなに妻が働いて国民年金を収めていても、主夫には遺族基礎年金は支給されないのです。
 

遺族厚生年金の問題

父子家庭の父に対しては55 歳以上という年齢要件が存在します。
 

児童扶養手当と遺族年金の併給制限の問題

遺族厚生年金(月額約1万8 千円)を受給していると、児童扶養手当として月額約4万7 千円が支給される年収だとしても、児童扶養手当を選択できない。
 

母子及び寡婦福祉法の問題

「配偶者のいない女子」や「母子家庭及び寡婦」と対象を明文化されていることで、無利子の貸付制度や高等技能訓練促進事業、雇用促進事業等は、「配偶者のいない女子及び児童、そして寡婦」のみとなっています。「配偶者のいない男子及び児童、そして寡夫」も対象とすると言った改善が必要です。

あしなが育英会のデータによると、東日本大震災における遺児を養育している世帯の総数1206 世帯の内、父子世帯は432世帯で、全体の36%の震災父子家庭が生まれたことになります。
 

父子家庭の最大の問題は「孤立」です。父子家庭になると「仕事」と「子育て」のどちらかを選ばなくてはならない苦渋の選択を迫られます。「仕事」を選択した場合、帰りが遅くなり、子どもが夜遅くまで留守番することになります。そうした子育て状態の理解を地域から得られない為、ネグレクトであると誤解され、更に追い込まれる事例もあります。また、「子育て」を選択すると子ども達のタイムスケジュールに就労時間が左右されるので、早出、残業、出張、転勤は困難になり収入は激減、緊急的な働き方の見直しを迫られます。

そして父子家庭は、住宅ローンや車のローンなどの「債務」を負ってひとり親になるという特徴があります。震災父子家庭においては、432 世帯の内65.7%が自宅全壊、5.1%が半壊となっており、約70%が債務を負ったことになります。年収が高くても支払いが多い「隠れ貧困父子家庭」が存在するのも問題点の一つです。母子家庭であれ父子家庭であれ、抱える子育て問題や就労環境は同じなのです。

これらの問題点を受けて平成23 年6 月20 日前厚生労働省小宮山副大臣へ要望書を手渡しました。また被災県・市町村議会への請願活動を開始し「父子家庭支援の拡充を求める意見書」が政府に届けられ、その動きは他県にも波及し、現在17 県議会94 市町村議会で採択されました。

私は震災で浮き彫りになった父子家庭支援の問題は子育て世帯全体のセーフティーネットの問題と考えています。天災により「ひとり親」になるリスクが存在することが周知された事で、ひとり親支援制度は全ての子育て世帯のパパとママに対するセーフティーネットへとチェンジしていく必要があるのではないでしょうか。私達は、これからも政府、関係省庁へ対して継続した政策提言を行っていきます。

 

■NPO 法人 全国父子家庭支援連絡会加盟 宮城県父子の会
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TEL:080-3197-0692
E-mail:hibipa0907@yahoo.co.jp

▼震災父子家庭に関する動画
【震災父子家庭に届かない遺族年金】
http://www.youtube.com/watch?v=M5pLOUBv6k0&feature=relmfu
【追い詰められる震災父子家庭】
http://www.youtube.com/watch?v=4SFbekkVl-w&feature=relmfu

※「かだりば通信 5月」に掲載された記事です。

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