東日本大震災女性支援ネットワークでは、男女共同参画分野をはじめ、防災政策、災害支援の現場、市民活動、地域防災活動、研究、医療・福祉・教育などの専門職の各分野で活躍できる担い手となっていただくことを目的として、今年度から人材育成の場づくりを開始しました。

各地への講師派遣や、被災地の協力を得ての研修を同時に進めながら、教材やプログラムのあり方を検討してきましたが、12月2日と9日の2日間、東京で「災害とジェンダー トレーナー養成研修」<基礎編>を実施しました。災害とジェンダー分野の基礎知識だけでなく、課題共有のための場づくりに役立つ参加型学習教材の紹介と実践、関係者への効果的な働きかけ方について考えるといったプログラムを、2日間通しで7セッション・10時間の構成で実施しました。女性関連施設関係者、女性団体関係者、被災地支援団体スタッフ、男女共同参画にも取り組む女性の地域防災リーダー、研究者など幅広い参加となりました。

なお、トレーナーの養成には本来、もっと十分な時間とトレーニング機会が必要ですが、この分野の人材が極めて少ないことから、今回の基礎編は参加しやすさを優先して2日間とし、最低限必要と思われる内容を学んでいただく場として設定しました。

また本研修は、公式な資格を与えるものではありませんが、基礎編では、すぐに実践に生かせる知識と手法の提供を行っており、実践を後押しするものです。修了生のみなさんには今後も随時、教材の提供や場づくりのご相談にのる等の、実践のためのお手伝いをさせていただきます。


 

【研修の様子】

●1日目「詳しく知る→見方を広げる」

1日目は「詳しく知る→見方を広げる」ことを目標に3セッションで実施しました。
セッション①では、自分の災害のイメージを思い起こすことから始まり、防災基礎知識のテキストをもとに各自工夫してプレゼンテーションをしてもらいながら、主体的に「伝える力」の重要性も実感してもらいました。

セッション②では、女性(一部男性)の視点からみた災害で直面する困難の全体像と対策について、セッション③では多様性配慮に関して座学で学習してもらいました。

1日目の終了時、もしも自分がこの分野で学習や働きかけの場づくりをするとしたら?との前提で、参加者のみなさんに「研修企画(案)」を“宿題”として作成していただきました。
 

●2日目は「コミュニケーションを考える→共につくる」

最初のセッション④では、1日目の振り返りも兼ねて、災害時のジェンダー・多様性配慮の実践をリアルに考える「もしもあなたが避難所リーダーだったら」というシミュレーション教材を紹介しました。

セッション⑤では、被災地で実際に起きた事例をアレンジして作ったケースメソッド教材「女性と子どもへの暴力対策を支援事業に含めるべきか」を使った参加型学習を実施。災害時の暴力問題についての理解はもとより、情報のありかた、ネットワークの必要性など自分自身のできることを測りながら課題解決へと向かう力を問われるワークを体験してもらいました。

昼食休憩をはさんで後半では、人道支援に関する国際基準や国内の政策・自治体の施策について座学で学びました。これは、政策提言活動や、防災関係者に働きかけていく際には不可欠の知識となります。

さらにセッション⑥では、この分野の先駆的な取り組み事例の紹介とともに、働きかけが必要なアクターを包括的に理解していただき、アプローチ方法についての想像力を高めてもらいました。

最後に、セッション⑦では各自の今後の取り組みイメージを投影する形で宿題としてそれぞれに書いてきてもらった「研修企画(案)」を参加者同士で共有し、今後の取り組みにむけてイメージを広げ、アイデアの交換を行いました。

 
以上、参加者は全部で22名で、2日間研修に参加することができた16名の方に修了証をお渡ししました。参加者のみなさま、お疲れ様でした!今後もみなさまには、関連情報の提供やフォローアップ研修等のお知らせをしていきます。

なお、初日の進行がやや押してしまうなど、反省すべき点もありましたので、今後の取り組みに生か
していきます。

 

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