3月11日に南三陸を襲った大地震と津波で、千葉姉妹は全てを失ったが、命だけは助かった。二人は、二世代に渡って海藻販売店を経営するために借金を抱えていることを自嘲気味に話した。
「きれいな海辺の小町だった志津川の店は家と一緒に簡単に流されてしまったの。避難した高台から、ものすごく大きい津波にぜんぶ流されていくのを見ていました」ひろこさんは言った。
4ヶ月以上過ぎた7月24日、東日本大震災女性支援ネットワークとみやぎジョネットが協力して仙台市内のホテルで開催した「女たちの語り場」で、二人は海苔の販売を再開した。被災女性たちの話を共有し、支援のために集まった参加者の多くは、千葉姉妹が販売していたきれいに包装された海苔を手にし、陳列した商品は売り切れた。
その日の販売は上々。これを見て、ひろこさんときみこさん姉妹は大きく安心し希望を持つことができた。あふれるような支援こそが、被災から立ち直るための一番の治療法だと言った。
「私たちにはまだ借金があるんです。借金を返していくには、商売を続けるしかない。今日連帯を感じたことによって、これからも続けていこうと強く思いました」とひろこさんは語った。
被災したほかの女性実業家も自家製味噌や卵、醤油などの商品を陳列していた。
この日は、農業に携わる女性たちが生活再建できるよう支援していくための大きな一歩になった。